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サラリーマン家庭から医学部に6年間行かせる覚悟がありますか?
今日は医学部に通わせている親として感じていることを、今まさに医学部受験を控えている、また、これから考えようとしている親御さんにお話ししたいと思います。また、このお話は、受験生の皆さんにも少しわかって欲しい親の気持ちなので、ぜひ受験生の皆さんも読んで欲しいですね。
まず問いかけたいのです。もしあなたがサラリーマンで、子供を医学部に行かせたいと思っているのなら、合格後6年間通わせる覚悟がありますか?覚悟?何の覚悟が必要なの?と思うでしょう。私も最初は我が子が医学部を目指している時は、超難関学部を目指させることが怖くもありましたが、誇らしくもあり、覚悟なんて関係ありませんでした。私が思うに親は2つの覚悟が必要なのです。
医学部を狙う家庭の親が必要な1つ目の覚悟
じゃあ、何の覚悟かというと、まずは経済的な覚悟です。私たちサラリーマンの給料は、今の時代それほど昇給していくわけでもありません。ましてやサラリーマンの給料なんてたかがしれています。普通の大学なら、短大で2年、一般大学で4年です。私自身、若いころ大学の4年間なんてあっと言うまでした。しかし、医学部は6年間あるのです。国立大学の医学部なら年間の学費は一般の学部と同じなので60万弱ですね。2年長いだけだから、約120万多いだけじゃないかと思うかもしれません。違うんです。この2年の間、子供として養っていかなければなりません。医学部5回生の時には、同年代の子たちは社会人1年。初任給で親はプレゼントをもらったりするのかもしれません。何より、お小遣いはやらなくてもいいし、食費も入れてくれるかもしれません。この差は大きいのです。私たち親も、今や老後に備えて貯金をしなければならないし、夫婦で旅行にも行きたい。でも、この2年はまだそれが無理になるのです。
そして、私たち医学部を狙う家庭の恐ろしいことは、多くの家庭が子供が小さな時(小学生高学年ぐらい)から、学力をつけるために塾に行かせたり、予備校に行かせたり、教育に無理を重ねてきて今に至っていることです。どれくらいの教育費を費やし、自分たちの生活や貯金を犠牲にしてきたか。
さらに、我が子は2浪し、そして医学部に入学したものの、2回生の時に留年。3年も無駄にしています。経済的な負担は相当なものです。子供が生まれた時から大学に行かせるためにかけていた学資保険がありましたが、満期になって振り込まれたお祝い金と満期保険が全て予備校代で消えてしまった時は本当に虚しかったです。
経済的に切り詰め、追われることで、夫婦喧嘩の元はいつもお金のこと。お金さえあれば、夫婦仲良くできたのにといつも思います。幸せはお金で買えるんですよね、本当は。子供が医者を目指さなかったら、きっとまた別の家族の形があっただろうなと後悔することもあるはずです。
医学部を狙う家庭の親が必要な2つ目の覚悟
2つ目の覚悟が必要なのは、メンタル面の覚悟です。経済的に追われてしまうこともありますが、何よりも子供が自立の目処が立つまでが本当に長いこと。それまで気を張り詰めて行かないといけないのです。我が子の場合は、小学校5年生から塾に通い始めて、中高一貫校に入れて、浪人で予備校2年、そして今4回生だけど1年留年しているので合計、今まで15年間ずっと我が子が医者になることを夢見て応援し夫婦で頑張ってきました。もちろん我が子が一番頑張ってきたのは分かっています。でも、この15年間は本当に長いのです。大学受験の失敗や、医学部留年など心折れる時が何度もありました。そして、我が子はまだ4年生。医学部だけでもまだ2年もあります。しかし、これから留年の心配や、医師国家試験の合否の心配など、まだまだ緊張は続くのです。あなたは耐えられますか。覚悟はありますか?
臨床研修制度で研修医も生活できるだけの給料がもらえるように
ただ、救いもあります。この長い緊張を耐えて、見事医師国家試験に合格したら研修医になれ、給料がもらえるようになることです。当たり前じゃないか!と思うでしょ。違いますよ、数年前は、研修医になっても月に5万円も給料がもらえないのが当たり前だったんです。研修医時代は、他の病院の当直アルバイトに行ったり、親が援助したりするしかなかったんです。
でも今は新臨床研修制度で、研修医も生活できるレベルの給料が支払われるようになり、1年目でおおよそ265万〜450万(病院によって違う)はもらえるようになったのです。ですから、研修医になってくれさえすれば、親の負担はなくなる訳です。本当にその日が待ち遠しいです。
まとめ
覚悟が必要な意味が分かっていただけましたか。安月給のサラリーマンでなかったら、また親から引き継いだ資産でもあったらだいぶ違ってくるでしょう。でも悲しいかな私たちはごく平均的なサラリーマンで資産もある訳でもないのです。自分を犠牲にするしかありません。
それでも我が子が医者になると言うのは親冥利に尽きます。本当に嬉しいことです。
ですから皆さんにここで伝えたかったことは、この2つの覚悟をしてこれから子供の医学部受験に、そして医学部生活に望んで欲しいと言うことです。あきらめないで、絶対に最後は幸せになれるはずです。
そして、受験生の皆さん、苦しく辛いのはあなただけではありません。ご両親もあなたとは別に、経済面や心の部分で戦い、頑張っているのです。感謝の気持ちを持って、そして合格して早く医者になることで親御さんに報いてあげてください。
みんなで頑張りましょう。