コロナ禍で、受験生や保護者の皆さんは大変な気苦労をされていることかと思います。授業の遅れや、詰め込みで受験勉強どころではない人も大勢いることでしょう。そんな中で、病院に関するニュースでとてもショッキングなことが起こったので皆さんも関心を持って読まれた方も多いのではないでしょうか。
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東京女子医科大学がコロナ禍の影響で経営が悪化し職員のボーナス支給を0にし、大量退職者の危機
東京医科大学は、コロナ患者の受入病院として対応している病院です。受け入れるスタッフにも院内感染の危険があるなかで、スタッフもギリギリで働き気持ちも体力も限界に近づいている最中に、このボーナス支給0の発表です。関係のない私たちからみても、え???どうして。患者が多くて忙しいのに、どうして経営が苦しいの?と疑問に思ってしまいますよね。まずはニュース記事をご覧ください。
ボーナスなく看護師数百人退職の恐れ 東京女子医大病院
東京女子医科大学病院(東京都新宿区)が、夏の一時金(ボーナス)を支給しないと労働組合側に伝えていたことがわかった。新型コロナウイルスの感染拡大で経営が厳しくなり、医療従事者がしわ寄せを受けている。看護師らが数百人規模で退職する可能性もあり、地域医療に影響が出ることが懸念されている。
関係者によると、東京女子医大病院ではコロナ禍で大幅に収入が減ったなどとして、6月半ばに夏のボーナスを支給しないことを決めた。看護師の昨年の実績は、1人あたり平均で約55万円だったという。
労組は理事会に再検討を求めているが、待遇の悪化を受けて退職を検討している看護師らが多数いる模様だ。関係者によると、退職する意向の看護師は、都内の系列病院も含めて全体の約2割に相当する400人規模になるとみられる。
写真・記事:朝日新聞引用
まず、なぜ経営が悪化したのかと言うことです。もともとこの病院は経営状態が悪かったようです。そこに今回のコロナ禍です。多くの通院者がコロナに感染することを恐れて病院に診察に来なくなり、結果、いくらコロナ患者を受け入れてもそれ以外の患者が激減してしまい収入が減ってしまったんですね。
コロナ治療はスタッフの負担が何倍も大きい割に、収入にはあまり結びつきません。診療報酬を計算するのに、保険点数と言うものが関係するのは皆さん知っていますよね。これこれの治療や検査は保険点数○点×10円だから、いくら請求できるといった具合です。ですから病院としては、保険点数の大きなMRIを使った検査や、単価の高い薬を使う癌患者治療や手術を多く手がける方が収入につながるわけです。しかし、コロナ患者を受け入れているばかりに他の患者から敬遠されてしまって収入が激減してしまったと言うのが真相のようです。
皮肉なものです。コロナ患者を受け入れると言うのは、医療者としてはとても崇高で尊敬に値する行為です。それが、そうする人にはボーナスが出ず、受け入れない病院ではボーナスが出る。ボーナスが出ないばかりか、自分が感染する危険や、家族に移してしまう危険さえもある。そりゃ、腹が立って辞めたくなるでしょう。生活もかかっています。他の病院に転職した方がはるかに安全で給与もいいかもしれないのですから。
※受け入れていない病院が悪いと言う訳ではないので誤解のないようにお願いします。受け入れることのできる感染予防可能な設備が整っている病院はとても少ないのが事実なのです。受け入れたくても受け入れられないのです。
今回は看護師の退職希望者が多いのは、患者に近いのと給与がギリギリだから
今回問題になっているのは看護師の方々のようです。それは、コロナ患者を看護するのは看護師であり、一番感染リスク負担が大きいことと、もう一つは、もともと給与が多い訳ではないので、ボーナスがないのはとても生活に影響があるからだと思います。医師もボーナスがないのは同じだと思いますが、医師の場合はもともとの給与が高いのでなんとか生活は出来るからたちまちは問題になっていないのだと思います。しかし、これからはどうかわかりません。良い待遇での引き抜きも起こるかもしれませんし、本人が転職を希望するかもしれません。
一体、東京女子医大はどうなってしまうのでしょうか?この前は入試の不正問題で注目されたばかりですが、今回はどうなるのでしょう。
少し医学部受験の話をしておきましょう。
少し受験の話をしておきたいと思います。
大学受験では、「逆張り」と言う言葉があります。どう言う意味かと言うと、その年、何か悪い話題などがあった大学ではその年の受験希望者が減って競争率が下がるだろうと考えるのが普通ですが、それを見越して逆にそんな大学を狙うのが逆張りという行為です。不正問題や事件が起こった大学では、本当に受験希望者が激減することも多々あります。しかし医学部受験では、逆張りする受験生が多いようで、逆に受験生が増加し競争率が高くなったということが起こりがちなようです。
実際に、不正入学や男女差別が大きくマスコミにも取り上げられた東京医科大学ではどうだったんでしょうか?東京医大で不正入試や合格者男女差別が発覚したのが2018年8月です。その年と2019年では一般志願者は同推移したのでしょうか。
このグラフは東京医大の一般入試志願者数の推移です。一目瞭然ですね。これを逆張り現象と呼ばずしてなんというか。いろいろな要因があるのだと思いますが、単純に受験生の思惑が影響しているような気がします。
これが今回の大量退職やコロナ禍の影響で2020年度はどうなるのか、結果をまたみてみたいと思います。
まとめ
コロナ禍は世界中、様々な業界や様々な人々に大きな影響を与え、生活や生き方を変えてしまいました。医療現場の危険性をクローズアップされた感もあり、医師になることを避ける受験生が増えるのか、逆張りで増えるのか?はたまた、医師という職業自体、犠牲ばかりを求められ割の悪い職業としてみられるのか?いろんな意味で2020年度の受験の傾向はとても予想しにくいものとなりそうです。
しかし国立大学医学部を目指す皆さんは、とにかく強い意志を持って、今は学力のUPのことだけを考えてください。今この時が大きく学力の差がついてしまう時です。そして保護者の皆さんが受験動向などの研究をしてあげてください。受験は受験生とその保護者との二人三脚なのですから。