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コロナ禍での医師国家試験について医学部生の父親が思うこと
医師国家試験をなめてはいけない
2022年の医師国家試験が2月6、7日に実施されました。医学部受験も超難関ですが、それを勝ち抜きさらに医学部で6年間膨大な勉強量をこなしてきた上での集大成である医師国家試験はある意味医学部受験以上に難関です。
多くの人がそれこそ小学生の頃から夢見て頑張ってきた医師への入り口であるこの試験をクリアしなければ医師にはなれないのです。合格率は92%と、何も知らない人から見れば、ほとんど合格するんだ!簡単なんじゃない?なんて思われるかもしれません。
とんでもない勘違いです。
医学部受験は、それこそギリギリの点数や、今年は諦めたけど経験を積むために挑戦してくる受験生もいますが、医師国家試験は大学6年間かけてこの国家試験をクリアするためだけに月日をかけて万全の準備を重ね挑むからこそ92%の合格率なのです。
そもそも、医師国家試験を受けるためには卒業見込みであることが条件になりますが、その卒業する事自体が大変なのです。大学では医師国家試験を合格できる学力を持つ生徒しか卒業させないと言われています。
それは、医学部の対外的な評価がこの「医師国家試験合格率」であり、その合格率を上げるには、合格できそうな生徒だけを受験させればいいからです。
ですから医師国家試験に合格できるレベルでなければ、そもそも卒業できず留年させられるのです。
それを実証する数字を見てください。これは2020年のデータです。
出願者、さらに受験者を制限して成績を調整している大学がどれほどあるのだろうかということを見て見ましょう。本来なら医学部6年生在籍学生数の内何人が医師国家試験に出願者し、その中で実際に受験した割合がどうだったのかを見れば一目瞭然なのですが、そのデータを拾うのは難しいのです。
しかし、拾えるデータを見ると、医師国家試験に出願したのに実際に受験した割合が90%未満だったのは、福岡大学(89.1%)、近畿大学(86.5%)、日本大学(84.4%)、川崎医科大学(81.1%)、岩手医科大(77.5%)の5大学のようです。
この数字は、出願時点では卒業できるだろうと見込んで出願したけど、卒業できなかった(させてもらえなかった・・・)から医師国家試験が受けられなかった医学部6年生の割合を如実に表した数字です。岩手医科大はひどいですね。受験率77.5%ということはおそらく約22%の6年生が留年させられたと想像できるのです。注意)実際は病欠や自首辞退とかも含まれているのかもしれませんが。
このように医師国家試験を受けられる生徒は、既に医師国家試験に合格できる学力があると認められた生徒しか受験できないと言っても過言ではないのです。
そのために、医学部に在籍しながら医師国家試験に向けて指導する塾も多くあるくらいです。医学部に通いながら塾にも行かないといけないなんて考えられますか?
当然、塾に行くには多額のお金が必要です。留年したら1年余計に学費が必要になります。医者になるまでには本当にたくさんのお金がかかるのです。
サラリーマン家庭では大きな負担であるため、塾にまでは行かすことはできません。猛勉強し進級して卒業資格を得て、そして医師国家試験も1回で合格できるようにするしかありません。
ちなみに、これはとある医師国家試験予備校の各コースの受講料です。こんな金額サラリーマン家庭では捻出できないですよね、
何が言いたかったかというと、医学部に合格するために必死に勉強し、医学部でも必死に勉強し続け、やっと医師国家試験が受けられる。
そしてそんな努力を重ねたからこそ92%の人が合格することができるのだということです。
裏を返せば、それだけガンバって、それだけ選別された超優秀な人たちだけが望み夢見て望んだ医師国家試験でも8%もの人が落ちてしまうということなんです。
その8%の不合格車は、医師国家試験浪人生として1年独学し次年度再受験することになります。実はその再受験組の50%はまた合格できないと言われていて、最後には心折れて医者になることを諦める人も出てくるそうです。考えられますか?医学部を卒業して医者になれないなんて。
参考の他の記事はこちら→医学部選びで医師国家試験合格率を参考にする時の落とし穴
弁護士になる司法試験と比べて医師国家試験はどうちらが難しいのか?
日本国内には3大国家資格というものがあるそうです。ご存知ですか?
公認会計士、不動産鑑定士、そして弁護士です。なぜか医師は入っていないのか不思議ですね。
この3大国家資格の中でも超難しいと言われるのが弁護士になるための司法試験。この試験は合格率が30%前後と言われています。医師国家試験が90%前後だというのと比べ、とても合格率が低いですね。それだけ難しいということなのでしょうが、単純に比較することは難しいようです。
単純に資格試験の難関度だけ比べると、圧倒的に司法試験の方が難しいと言われています。司法試験の受験資格を得るためには、法科大学院課程を修了するか、司法試験予備試験を合格するかが必要です。その資格を得るために受ける法科大学の入学試験と医学部の入学試験を比べると、反対に圧倒的な差で医学部に合格する方が難しいのです。更に、医学部は6年間厳しい授業が待ち構え、更に医師国家試験に合格しても、前期後期の研修を経なければ医者として認められないという違いもあります。医師の方が圧倒的に勉強時間に加え、義務となっている課程が多く長い年月が必要なのです。
ですから司法試験と医師国家試験、どちらが難しいのかなんて議論しても仕方ないのです。比べること自体がナンセンスです。
東大理Ⅲ(東大医学部)の生徒が医師国家試験合格率が高いのかというとそうではない事実
ちなみに最難関大学で偏差値1位の東京大学医学部が、そのまま医師国家試験の合格率も1位なのかと思いがちですが、実はそうではありません。医師国家試験合格率総合ランキングで偏差値1位の東大医学部は63位。続く2位の京都大学はそれぞれ65位。3位の大阪大学は62位。私大の雄・4位の慶應義塾大学は20位。揃って偏差値上位の大学の医師国家試験の合格率が低いのです。ただ、これは、単純にこの生徒たちが大学に入学してから学力が落ちてしまったのかというとそうではなく、医師国家試験へのモチベーションが低かったり、医師資格よりも医学的研究に興味が移ってしまったりと賢いが故の様々な理由があるようです。
医師国家試験を受けた受験生と保護者の方へ
これから先にこの試験を受けるであろう我が家からすれば先輩たちに当たりますが、まずは医師国家試験の受験お疲れ様でした。本当に長い長い道のりでしたね。受験生本人はもちろん、これまで支えて来られた保護者の方々にとっても本当に長い戦いだったと思います。
その苦労が報われることを祈っております。
そして、今年医学部受験をされる受験生と親御さん、医師国家試験をクリアし見事医師になるために、まずはスタートラインである医学部入学に向けてあと一息頑張ってください。応援していますね。