私は自衛隊員でも医者でもないただの民間人サラリーマンです。ただ、結局は行かなかったにしても、我が子が一度は防衛医科大学校の合格をいただいた時、もしかしたら子供がここにお世話になるかも知らないと真剣に悩み考えたことがあるので、それを思い返しながら、少し書かせて欲しいと思います。
防衛医科大学校に入学を決めるということ
防衛医科大学校に入学するということは、自衛隊に入隊することと同義語です。
自衛隊に入隊し自衛隊員の身分のまま医療について学ばしてもらうわけなので、当然他の自衛隊員と同様に防衛省から給与が支払われることになるのです。
このことをしっかりと理解しておかなければ、甘い考えのまま入学(入隊)することになり、後悔だけではなく途中で挫折してしまい大きな代償を払うことになるので肝に命じておいて欲しいと思うのです。
自衛隊の皆さんからは、自分の身を危険にさらすことなく安全な後方にいる者が好き勝手なことばかり言うな!と怒られるかもしれません。でも、私たちサラリーマンだって日々職場で戦い、どんなに辛くてもどんなに情けない思いをしても歯を食いしばって頑張っているのです。それは自分のため、そして家庭のためなのは事実です。しかしその労働から得られる税金で自衛隊を支え、国を成り立たせていることも事実なのです。
知っていますか?
自衛隊の方達が訓練や派遣先で亡くなることことよりも、労働者が仕事中の不慮の事故で亡くなる件数の方が圧倒的に多いことを。
過労死や、追い詰められて自ら命を絶つ人も圧倒的に多いことを。
そう、サラリーマンだって銃を持って敵と戦わないだけで、生きること、家族を守ることに必死なのです。
ですから、少しだけ好きなことを言うことを許してください。
私は医者を目指す人たちが、防衛医科大学校に安易に入学(入隊)をすることには反対です。
もちろん、私も自衛隊の任務を尊いものと思い、災害派遣などで頑張っておられる自衛官の皆さんを拝見するたび感謝の気持ちで一杯になる国民の一人です。
だからこそ、なおさら安易な気持ちの場合は反対なのです。
●自衛隊法第1章(自衛隊の任務) の第三条では、
自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。
と明記されています。医者として医療法の前に、自衛官としての任務が優先されるわけです。(間違っていたらすいません)
●また防衛医科大学校のHPでは
防衛医科大学校は、「医官(医師である幹部自衛官)となるべき者を養成するとともに、卒業した医官に対して、自衛隊の任務遂行に必要な医学に関する高度な知識・研究能力を修得させるための教育・訓練を行うこと」を目的として、防衛省(当時の防衛庁)に開設されている。
とも明記されています。
要は、自衛隊の任務を遂行するために必要な医学知識と能力をもつ医官を養成する機関が防衛医科大学校であるわけです。
ですから、
もし防衛医科大学校に入学するならば、このことをしっかり理解した上でなければならないのです。
防衛医科大学校のHPで卒業生の皆さんがこの学校を選んだ理由として
●有事の際に一番早く救えるのは、自衛隊の医療者だ
●災害派遣の恩返しをしたい
●国防と医学の両立という魅力
●国際貢献の最前線に立つ
●自衛隊員を医療面で支えたい
●防衛省の医師という職に憧れていた
●防衛医学という考え方に衝撃を受けた
といったことを挙げています。
いずれも立派な志のもと入学されていますね。
このブログを読んでいるのは親御さんですか?入学される本人ですか?
本人ならば、今読んだことをもう一度自分に問い直してみてください。そして決意を新たにしてくださいね。
そして親御さんの場合、ぜひ、もう一度、入学するために間も無く家を出られるお子さんに、この決意があるかどうか、なくてもその意気込みは必要であることを
話してあげてください。
本人も相当の覚悟はしているでしょうが、まだまだ子供です。
そして、間も無く寮に向かうお子さんのことを誇りに思い、送り出してあげてくださいね。
防衛医大入学前、又は入学を迷っている方にぜひ読んでみて欲しい本があります。
防衛医大の入学を決心した方は、これから入学してからの学校生活を知る上で、そして入学を迷っておられる家庭では、その不安を拭うためにもぜひ読むことをお薦めする漫画があります。
それは「賢者の学び舎」という全5巻の漫画です。
元防衛大臣だった河野さんが、大臣就任後防衛医大を訪れる前に事前に読んでおいた漫画としてよく知られている漫画です。かなりリアルに防衛医大に入学してから起こることがストーリー仕立てで描かれていて興味深いです。
入学する本人だけでなく、親御さんにもぜひ読んで欲しいのです。
厳しい面も確かにあるようですが、それにも勝り、医療人として立派な志を確率することができる「学び舎」であることがよくわかる本だからです。
我が子は、防衛医大の繰り上げ合格と地元の国立大学医学部の合格とを果たし、どちらにするか迷ったようです。結局は地元の医大を選びましたが、
この本を読んで、親である私自身、我が子の将来を考えると防衛医大も選択肢としては良かったのではと今でも思っています。
これを読んでから、最終的な入学を決めてもいいかもしれません。2時間足らずで読み終わります。人生を決める一代決心をするための2時間だと思えば決して無駄な時間とはならいでしょう。