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東京女子医大の医師大量退職に思うこと

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東京女子医科大学の医師大量退職に医学部生の父親として思うこと

4月に入り、医学部をめぐる記事はコロナ関連がほとんどの中で、度肝を抜かれるニュースが流れました。東京女子医科大学(付属の病院も含め)で100人以上にも及ぶ医師の退職者が出たというではないですか。おそらく看護職なども含めるともっと多いでしょう。

私たちの感覚でいくと、100人も医師が辞めたら病院は業務がストップしてしまうんじゃないか?と思ってしまいますね。

そこはギリギリなんとか運営はできているそうです。私もよくは知らなかったんですが、東京女子医大レベルになると医師だけで900人近い医師が勤務しているそうなんですよ。その内の100人ですから、厳しい中でもなんとかできているのでしょう。

東京女子医大といえば、医学部入試で男女の合格比率操作をした問題や、最近ではコロナ受け入れで経営悪化した結果、医師を含む職員のボーナス支給ゼロで職員の反発を食らった問題でも話題になった病院です。院長解任騒ぎもありましたね。

結局ボーナスは1ヶ月分は支給されたそうですが、労使間の不信感は相当なものだったようです。

そこに来て、この医師大量退職の問題です。

このニュースについて、現在医学部に在校する我が子と少し話をしたのですが、やや興奮気味に語っていました。

あり得ないことが起こったのです。

コロナを受け入れて奮戦している現場職員に対し、経営陣があまりにも不条理な職員処遇をしていることが明るみになったことで、世論は現場職員の見方になっていました。

ですから、今回のニュースに触れて、我が子が興奮したのは、ある意味「小気味いい痛快劇」に映ったからなのでしょう。

汚い言葉使いをご容赦いただくとして、「経営陣ザマーみろ!」的な感じです。

しかし、そのことで打撃を受けるのは経営陣だけではありません。患者や地域医療なのです。そのことを考えると心が痛みます。

目次

東京女子医大の医師は志が高いのになぜ?

東京女子医大の医師は、実はとても志が高く、しかも高レベルの技術を持つ方が多いそうです。その証拠と言う訳ではありませんが、国内でカリスマと呼ばれる各分野の専門医師が多くいらっしゃったり、その医師に学びたいと全国から若手の医師も集まってきているそうです。しかも、東京女子医大はブランドこそ名声を轟かせていますが、実は医師給与は他の病院よりもかなり低く、それだけではとても医師としての生活が難しい程らしいのです。それでも志を持って集まっていた医師の皆さんだった訳です。

詳細を伝えているのは「東洋経済オンライン」でした。

私もそこに書いてある記事でしか知ることはできませんので、もし真実が違っていたらご容赦いただきたいのですが・・・・という前提でお話しします。

記事に書いてあった医師の退職理由は、

●やはり経営悪化や給与問題、人事問題などによる経営陣への不信感。

●人件費を抑えながら、過剰とも言える設備投資(施設の建て替え)を行っている経営陣への不信感。

●薄給の補填として慣例的に認められていた、他の病院でのアルバイトを急に禁止された。→このアルバイト代だけで30万〜40万程はあり、それがあるから東京女子医大の薄給でもやって行けていたものを禁止されて、不信感どころか、生活が成り立たなくなるため退職。

などがあったようです。

元々強い志を持って勤務していた医師たちも、一連の経営陣のやり方に心が折れてしまったのでしょう。

しばらく、状況を見守っていきたいと思いますが、コロナ禍で緊急事態宣言がまた発令されるかもしれないような状況で、残されたスタッフのことを思うと心痛みます。

東京女子医大のニュースで改めて知った医師のアルバイトの実態

医学部を目指している方達なら、ある程度医師の給与や勤務状況のことは知っていますよね。

過酷な勤務時間、労働基準法そっちのけの長勤務は有名です。夜勤の後にそのまま朝からの外来診察をこなすなんて日常。医師免許という限られた専門性の高い資格を持つ医師に、労働基準法を厳正に適用していたら絶対に医療現場は回らないのです。

そんな過酷な勤務の中、それでもアルバイトをする医師は後を立ちません。特に大学病院に属する医師はアルバイトをしなければ、薄給すぎて生活が成り立たない場合が多いからです。

実は、医師の高給というイメージは、このアルバイト代も含まれることが多いのです。しかも、このアルバイト代はとても割がよく、1日アルバイトに入ると10万円近くもらえます。週に1回、月にして4〜5回入れば40万前後にはなるのです。それだけで、普通の一部上場企業のサラリーマン給与ほどあります。

アルバイトは一定の期間を定めて契約 するもの (たとえば週 1 回の勤務で 6 カ月契約) と、 1 日程度のスポット契約 (当直勤務や代診) とに 大別されるそうです。 後の1日単位のスポット契約は一般用語で用いられるアルバ イトに近く, 大学院生など若手の医師が就くことが多いようです。 前者は研究に重点を置きたい, 育児と仕事を両立させたいなど仕事をセーブしたい 医師が選択する傾向があるようです。

アルバイトとは いえ週に 2 回か 3 回働けば普通の生計は維持できること から, いわゆる 「フリーター医師」 も増加しているそうですよ。変に雇われて勤務医としてこき使われるより、気軽に医師ができることや、育児などで生活費レベルが稼げればいいと言う場合などもこのフリーター医師のジャンルに入るそうです。

研修医は現在はアルバイトは禁止されています

医師のアルバイトというと、私は研修医がするものというイメージが強いです。

「ブラックジャックによろしく」という漫画があります。大学病院で研修医として働く若き医師の葛藤をリアルに描いた漫画ですが、やはりここに登場する主人公もアルバイト当直をしていました。

この漫画が描かれた当時は、研修医のアルバイトは禁止されておらず、しかも研修医の給与は支払われないことが当たり前の時代だったのです。支払われたとしても寸志程度で数万円もらえるかどうか。そんな収入では到底生活できないので、半ばそれが研修医の常識のように当直アルバイトが慣例化していたのです。

今は絶対にダメです。医師法で研修医のアルバイトは禁止され、その代わりに給与を支払うことが研修先病院には義務付けられています。金額は一定ではありませんが、初期研修医で200万〜400万程度です。

もしこのルールを破ると、研修医本人ではなく研修受け入れ先の病院にペナルティが科せられ、国からの補助金が削減されたりするため、病院側が厳しくアルバイト禁止のルールを設けている場合が多いようです。

まあ、全く給与が出ていなかった時代を考えるとだいぶ進歩していますよね。

まとめ

東京女子医科大学のニュースから、医師のアルバイトの話になってしまいましたが、それら一連は結局は「医師の労働条件と給与」という切実なところで繋がっている課題です。

医師にさえなれば高給が保証されている!というのは幻想です。医師といえど、どんな志でどんな職場を選ぶかによって収入はかなり差が出てきてしまいます。志より高給を選ぶか、薄給でも腕を磨き一流の医師を目指すか、高給でも地方の僻地病院で働くか、いろんな選択肢があるのです。

あなたは、どんな医師を目指しますか?

 

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