私のブログでは、極々普通のサラリーマン家庭から国立大学医学部を目指す受験生や保護者の方に向けた情報を書かせていただいています。
ただ、普通のサラリーマン家庭と言っても、どのレベルを普通というか?。
私の言う普通というのは、夫婦共働きで世帯年収1000万円(税込)前後の家庭のことを言います。
また普通に住宅ローンを抱え、子供は2人程度。
そして、親から受け継いだ資産もない本当に自分たちの収入だけで何とか頑張っている家庭です。
それでも、世帯収入1000万というのは、上位の家庭なのだとは思います。
そんなある程度上位に位置する普通の家庭からでも、国立大学の医学部に合格できる学力を子供につけさせることがどれほど大変かを、多くのブログでお話ししてきました。
もう一つ付け加えると、両親はごく普通の大学を卒業したレベルであることも普通の条件かもしれません。
目次
普通のサラリーマン家庭からは国立大学医学部しか狙えないのか?
私の持論は、普通のサラリーマン家庭からは国立大学の医学部しか狙えない、というか行かせる余裕がないというものです。
それは、大学の入学金や授業料といった教育費が国立大学と私立大学とでは全く違うからです。
私が言うまでもなく私立の医学部の学費が高額なのはよく知られた話ですよね。
しかし、最近は私立医学部の入学金や授業料が安くなってきて、普通のサラリーマン家庭でも無理をすれば手が届くところまで来ているため、親も学生も選択肢に迷いが出ているようです。
国立大学医学部の場合、かかる教育費は6年間の合計で約350万程度です(もちろん生活費や交通費は含みませんが)。
一方、私立大学医学部となると昔は3000万〜5000万とかなり高額だったものが、最近では一番安い私立で順天堂大学医学部で2080万円とかなり安くなってきているのです。
その差は約1730万円。普通のサラリーマン家庭でも無理をすれば払えない額ではなくなりました。
国立は無理でも私立ならなんとか合格できる可能性がある場合、選択肢に私立医学部が頭をよぎるのも無理からぬところでしょう。
父親として、夫として、私立の医学部を勧めたくはありません
確かに無理をすれば私立の医学部に通わせる教育費を捻出できるかも知れません。
しかし、あくまで無理をすればです。その無理をする価値がどこまであるか。私は疑問に思います。
我が子が2浪の末、ようやく国立大学医学部に合格した経験から言わせていただきます。
国立大学医学部に行かせるだけでも、私たち夫婦はもちろん、子供たち(2人います)にも多くの犠牲を払わせてきました。
医学部を狙える学力をつけるためには、小学生の頃から進学塾に通わせる必要があります。
そして私立の中高一貫校の受験、そして入学。
医学部受験をする以前に、その受験の舞台に立たせてやる学力を身に付けさせるため約8年間ほど、多額の教育費が必要になります。
貯金をする余裕もなく、教育費を捻出するのが精一杯でした。
子供には不自由な思いや恥ずかしい思いをさせないようにはしていましたが、夫婦は買いたい服も我慢し、贅沢などしない生活です。
まさに子供のために働くだけの生活が続くのです。
そして、それが私立の医学部となるとどうでしょう。1700万以上の負担が余計にかかります。
子供が2人の場合、子供1人を医学部に行かせるためにもう1人を犠牲にするしかないかもしれません。
おそらく住宅ローンには耐えられないでしょうから賃貸で我慢することになるでしょう。
そんな生活が果たして幸せなのか。子供たちと旅行に行ったり、美味しいものを食べたりした思い出もほとんどない切り詰めた生活になるでしょう。
私はそんな状況は幸せだと思えませんし、そこまでして医学部に行かせる価値があるとも思えません。
もちろん奨学金や教育ローンなどを利用して少しでも負担を減らすこともできるのでしょうが・・・・。
子供を医学部に行かせることが着地点、最終目的ではないはずです。
子供が人生を切り開けるだけの力をつけさせることが一番であるはずです。
そして自分たち夫婦の人生をどう楽しむか、そして老後の資金をどう貯めるのか。色々なもののバランスを考えて決めていただきたいと思います。
それでも、「我が子を医学部に行かせて医者にするためならどんな犠牲でも払う!」というならそれも選択肢かも知れませんが。
受験生の皆さんも親の幸せも考えてあげて欲しい
受験生の皆さんは、家庭の経済状況を把握したりはしないでしょう。
自分の家庭の世帯収入がいくらだと答えられる学生は普通はいません。
しかし、医学部を狙うほどの学生さんなら、ぜひ一度、ご両親と経済状況について向き合って見て欲しいのです。
国立大学医学部を狙うにしても、普通の大学と違い、6年間の学生生活を支えてもらう必要があるのですから。
普通の大学より2年分多くの学費がいるだけではありません。2年分の生活費も負担してもらうんだという自覚が必要です。
もし浪人でもしたら、浪人しただけの予備校代や生活費がかかります。高校の同級生たちは、医学部に入学した自分たちよりも早く社会人になり自分で自立した生活を送り始めるのです。
自分たちが他の子たちよりも親に負担を掛けてしまうことを自覚し、親に感謝しなければいけません。そして、自分が医者になった暁には、親御さんに楽をさせてあげるぐらいの恩返しをしてあげて欲しいのです。
親は子供に見返りを求めてはいません。しかし、あなたを医学部に入れるために本当に自分達の生活と明るい老後を犠牲にしてしまっているのです。
十分な老後の資金も貯められず退職を迎える親御さんも沢山いることでしょう。
そのへんをよくよく考えてあげてくださいね。親の立場からはそんなことを我が子には言えませんが・・・・