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13歳で医学部合格の驚異!
えっ!13歳で医学部入学!?
そんなことあり得るの?と思ったでしょう。実際に2022年に実現した実際のお話です。
最も日本国内ではなくアメリカでのお話なのですが。
さすがアメリカ。優秀な人材はどんどん学年を飛び級し10代で大学合格なんて話はよく聞きますね。
ギフテッド(gifted)という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
映画のタイトルでも使われているので、最近ではメジャーな言葉になっています。
ギフト=贈り物。そう特別な才能を天から授かって生まれた人のことをギフテッドと呼ぶそうです。
他の人にはない秀でた天賦の能力を授かって生まれた子供たちがそう呼ばれ、アメリカなどの海外ではギフテッド教育の制度があり、そういう子供たちの能力が発揮される環境が整えられているのは周知の通りです。
贈り物は、決してIQが高いとかに限らず、例えばピアノの才能、数学の才能、運動の才能など多岐にわたります。
映画では、それが超能力だったりして面白いSFストーリーに仕上げられることが多いですね。
日本でも、そういった子供たちは昔からいて、いわゆる「神童」という言葉で評されてきました。
話をもとに戻しましょう。
2022年、13歳でアラバマ大学の医学部に合格したのは、アメリカ・テキサス州フォートワース郊外出身のアレーナ・アナリー・ウィッカーさん(13歳)。
12歳で高校を卒業し、13歳で医学部合格を果たしたまさにギフテッドの少女です。
ただ、彼女は決して順風満帆で医学部に合格したのではありません。
それは、彼女が黒人であったこと。それにアメリカのようにギフテッドに理解がある社会でも、やはり子供たちにとっては優秀すぎる同学年はいじめの対象になるらしく、彼女も学校生活が送りにくくなり早くから自宅学習を余儀なくされていたようです。
それでもアラバマ大学バーミンガム校医学部の早期入学保証プログラム(特定の条件を満たした志願者に早期入学を提供するプログラム)によって見事合格を果たしたのです。
※詳しい内容はこちら→ニュース記事
13歳で医学部に入学して良い医師になれるのか?
ギフテッドの彼女が医学部に合格したのは素晴らしいことです。
しかし、それと彼女が良い医師になれるのかと言う事とは全く別の話です。
医師は「IQが高く勉強ができる=素晴らしい医師」ではありません。
患者と向き合い、患者から信頼され、そして患部を見抜き治療する能力が必要です。
そして、近年では一人の優秀な医師がいても医療は成り立たず、チーム医療が重要になってきています。
同僚の医師や看護師やカウンセラーといったメンバーとのチームワークが求められるのです。
その現実に対し、社会生活や人間関係の経験値の少ない若い彼女がどこまで優秀な医師として立ち回れるのかは全く別次元の話なのです。
研究の道に進むなら、そのIQの高さはきっと発揮されるのでしょう。
・・・そう思うのは私にはまだ偏見があるからなのは自覚していますが・・・
ちなみに彼女の夢は、航空宇宙医師(フライトサージャン=FS )になることらしいです。
あまり知られていませんが、FS の役割は宇宙飛行士の健康を維持することです。 宇宙飛行士の選抜から 始まり、定期的な医学検査、飛行前/飛行中、リスクの高い地上訓練時、飛行 直前検疫)、打上げ時の医学支援、飛行後の医学検査、飛行後のリハビリテー ションなど、宇宙飛行士の健康を長いスパンにわたって管理するのです。
※元宇宙飛行士の向井千秋さんのように、医師で宇宙飛行士になる人をFSと呼ぶわけではないようです。
日本では若年で医学部合格を果たす神童は生まれない!?
では日本でもギフテッドの子供たちが飛び級で医学部合格を果たすことは起こり得るのでしょうか?
実はそれが起こったのです!
2021年、飛び級で高校2年生の女の子が京都大学医学部に見事合格を果たしているのです!
※詳しい内容はこちら→ニュース記事
ただ、海外のギフテッドのようなドリームは起こらないのが日本の制度のようです。
この事例は、たまたま京都大学が高二から受験できる制度を設けていたから実現できただけのようです。
彼女の実力は「高1で東大理III(医学部)A判定」「数学、物理、生物、地学でオリンピック級、あと地理もオリンピック級」「英検も1級」「囲碁部員として全国高校囲碁大会で準優勝」などと言われている(ネット情報なので真偽の程は保証できませんが)。
ちゃんとした飛び級制度があれば、彼女は高一、いや中学生で医学部合格を果たせたかもしれないまさに日本版ギフテッドだったのでしょう。
ちなみに、彼女は研究者になりたいと言っているようです。
このことでもわかるように、日本ではいくらギフテッドでも実力通りに飛び級しどんどん先に進むことはできないのが現実です。
それどころか、ギフテッドの子供たちの能力を伸ばしていくギフテッド教育の土壌ができていないため、せっかくの優秀な人材を埋もれさせてしまう恐れさえあります。
同じ学力、平均的な能力の生徒を量産する教育システムの中で、いわゆる普通の生徒が善なのです。突出することは許されません、
ですから、残念なことに「神童も大人になればただの人!」と神童を小馬鹿にしたような言葉が生まれるのです。
私事ですが、医学部に在籍している我が子に言わせると、この「神童も大人になればただの人!」という言葉が一番嫌いで、一番怖かったそうです。
我が子も国立医学部に合格するぐらいですから、小学生の時代から周囲からは神童とは言わないまでも、秀才ぐらいには思われてきました。
そう言われることへのプレッシャーは相当あったようですし、逆に、妬みも込めて「神童も大人になればただの人!」と陰口を言われてもいたようです。
本当に残念ですが、これが日本の国民性です。
国際的には民度が高く、文化的と評価されている日本人ですが、同じ日本人同士となると「出る杭は打つ!」とばかり、他人の成功は喜ばず足を引っ張るのが日本人の特性なのです。
それでも私は飛び級で医師になることは賛成できません
今までの文脈からすると、私はギフテッド(優秀な子)が飛び級していくことの賛成派だと思われるかもしれません。
確かに賛成派ですが、こと医師に関しては反対派なのです。
先に述べたように、医師には、チーム医療を成功させる協調生、また患者の気持ちに立てる人間性が求められます。
それは座学で学んで身につくものではなく、経験や体験、人との関わりの中で身につけていくものです。
その大切な人間形成のための時間はやはり必要なのです。
それを飛び級してしまっては、人間形成ができないまま知識だけの医師になってしまうのではないかと危惧するのです。
電子カルテの方しか見ず、患者と向き合おうとしない医師。
患者や家族の気持ちへの理解なしにがん告知してしまう医師。
独りよがりでチームからの信頼を得ていない医師。
そんな医師は、どんなに成績優秀で大学を卒業しても、良い医師とは言えないのではないでしょうか。
【まとめ】13歳で医学部合格は凄い!そしてこれから多くの人と関わり、色々な経験を積んで良い医師になって欲しい
最後にまとめると、優秀なギフテッド(日本で言う神童)は、その能力を発揮できる教育環境と制度の中に置かれることが必要です。
しかし、真の学びは実際に人と関わり、経験の中で学んでいくことで育まれるものだと知ることです。
医学部に合格したアメリカの13歳の少女しかり、京都大学に高二で合格した少女しかり。
ぜひ、これから多くの人と関わり、辛いことや楽しいこと、悲しいこと、色々経験し人間形成をしっかりしながら良い医師になっていただきたいと思います。
そして、今、医学部受験を控えている優秀なお子さんをお持ちの親御さんは、見事医学部合格を果たした暁には、ぜひ人間形成の大切さをお子さんに伝えてあげてください。