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追い詰められ、逃げ場を無くす医学部受験の怖さ!医学部合格までの道のりは本当に過酷!

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今回はある事件を一つのケーススタディとして、医学部受験の怖さや過酷さを考えていきたいと思います。

その事件の詮索をするつもりはありませんし、私の考えは事実とは異なるかも知れませんが、私個人がこの事件から感じたこととして読んでいただけたらと思います。

その事件とは、東大前の医学部志望の17歳少年の斬りつけ事件です。

東大前の17歳少年の切り付け事件に医学部受験経験者の親としては他人事ではない!

大学共通テストの初日、東大前で起った高校2年生の17歳少年による切り付け事件はとてもショッキングなニュースでした。

被害者3名の中の2人は、これから受験に向かう受験生だったというではないですか。
少年の犯行動機は「東大に入って医者になることを目指していたけど、成績が伸び悩んだのに絶望し、人を殺してから切腹してやろう!と思った」だったようですが、同じく医学部を目指した子を持つ経験のある私として、とても他人事とは思えませんでした。
犯行そのものは自己中心的な動機であり、この日のために必死で頑張ってきたであろう受験生を、巻き込んで、その子たちの今までの努力を踏みにじったことに強い憤りを感じずにはいられません。
子を持つ親の立場で、被害にあったお子さんと親御さんの気持ちを思うと悔しいのを通り越して悲しくなってしまいました。
ただ、あらためて視点を被害者側に持っていくと、全く見方が変わります。
「こんな犯行に至るまで追い詰められてしまったのかな」と可哀そうになっても来るのです。

この感情は、「医学部受験」という過酷な受験戦争を戦った経験者しかわからない感情かもしれません。

私と同じように、医学部受験を経験したことのある人やその家族は、今回の事件に潜む、悲しく辛い裏側をきっと感じ取っているはずなのです。
そこで、今回はこの事件を通じて感じた課題や医学部受験の過酷さや怖さを、一緒に考えて行って欲しいと思います。

追い詰められ、逃げ場を無くす医学部受験の怖さ!医学部受験生の合格までの道のりは本当に過酷!

少年は取り調べに対し「医者になるために東大を目指して勉強を続けていたが、1年くらい前から成績が上がらず、自信をなくした」「医者になれないなら死のうと思った」、また「東大を受験する予定だったが、勉強しろとの圧力が強く勉強が嫌だった」などと供述していたそうです。
このニュースを聞いた方は、
●医者になれないなら死のうと思った!って、他の進路を考える余裕は無かったのか!
●なにも東大の医学部じゃなくても、他の大学の医学部でもよかったんじゃないか!
と単純に思われたのではないでしょうか。
普通の人ならそうでしょう。でも医学部を目指す、しかも国内全ての大学の最高学府である東大理Ⅲを目指すような家庭や学生を取り巻く環境は異常なのです。

この加害者の通っていた高校は国内で一番医学部合格者を輩出する学校らしく、幼いころからそれこそ「神童」と呼ばれてきたような秀才ばかり集まる所だそうです。

自分は特別だ!選ばれた人間で神童なんだ!と自尊心を持ってきたのに、神童ばかり集まると、どうしてもその中で落ちこぼれる学生が出てきます。

ああ、どんなに自分は「井の中の蛙」だったんだろう!と思い知らされるのです。

しかし、学校、親族、隣近所も神童と呼ばれた子は当たり前に医学部や東大に行くだろうと思っています。
逆に、興味本位でさあ、どうなるかと注目もしているでしょう。
そんな、東大に行って当たり前!それが普通という環境に置かれてしまうのです。
医学部を目指すような学生は、小学校の頃はおそらく学年でトップが当たり前、中学生の頃になると進学校に進み、その中でもトップクラスでしょう。

それぐらいじゃないと医学部受験なんて夢の夢なのですから。
多くの家庭が医者や高額所得層であり、親は子に小さな時から教育にお金を注ぎ込み、医学部に進むのが当たり前と思っています。
稀に私のようなサラリーマン家庭からも医学部を目指しますが、それこそ親が苦労して教育費を捻出して、我が子が医者になる!という期待が大きくなってしまい、子供はその期待を一身に背負ってしまうことになります。

いずれにしても、どんどん逃げ道が無くなり、精神的にも追い詰められていくのです。
そんな中で、東大、医学部以外の道は考えられないでしょう。

今回の加害者の少年の場合は、親はサラリーマンだったようです。

そしてどちらかと言うと少年自身が「絶対に東大理Ⅲに行き医者になる!」と強く思い込んでいたそうです。

自分で自分を追い詰めてしまったのでしょうか。
私は、絶対にそんなことは無いと思っています。
学校、親、それぞれからのプレッシャーは必ずあったはずなのです。

所詮は17歳の子供。そこまで自分の将来を限定し、マインドコントロール状態まで持っていけるはずはないからです。

自分でも東大や医学部以外は落ちこぼれだと思ってしまう呪縛

医学部を目指すため、幼少より高い教育を受け、秀才として評価されてきた子供は自尊心の塊です。

下を見下す訳ではなくても、自分が優秀であることを強く意識しているものです。
我が子もそうでした。サラリーマン家庭の子供なので生活レベルは高くはなくても、学力の面ではとても強い自尊心を持ち、他の偏差値の低い学校の生徒を下に見る傾向がありました。
残念なことに、本人も実はその親も「自分たちは医学部を目指している!」という事実だけで偉くなったような気持になってしまうのです。

まだ合格さえしていないのにです。
実はこれがとても怖い所で、私も経験があるのですが、知らず知らずのうちに「医学部を目指している」というエリート意識が生まれ、それ以外を見下し優越感に浸り、医者以外は下の職業だと思い込んでしまうのです。
そして本人や親は、医学部以外は落ちこぼれという呪縛に捕らわれてしまうのです。
そして、医学部を目指していることを周囲に言ってしまうことで、「それ以外の大学に行くことは恥ずかしい、笑われてしまうこと」という呪縛に捕らわれ、完全に逃げ道を失ってしまいます。
私の家族はできるだけ周囲に医学部を目指していることを言わないようにしていました。
→参考記事:医学部受験をすることを周囲に言うか?
それでも、やはり周囲はそれを察して不要な好奇の目で見てくるものです。親族は容赦なく、医学部を目指すんでしょ。凄いわね!うちの子とは頭の出来が違うわ!などと言ってきたりするのです。
本当に本人も親も今更後に引けなくなり、逃げ場が無くなるという感覚です。

加害者の通っていた高校の真意をついていないコメントに違和感を感じた

少年が通っていた学校は、次のようなコメントを出していました。
「密」をつくるなという社会風潮のなかで、個々の生徒が分断され、そのなかで孤立感を深めている生徒が存在しているのかもしれません。

今回の事件も、事件に関わった本校生徒の身勝手な言動は、孤立感にさいなまれて自分しか見えていない状況のなかで引き起こされたものと思われます。

コロナ禍で悩みを抱えて、誰にも相談できず孤立してしまったことが原因のように言われています。
確かにそれもあるでしょう。でも、それはどんな受験生でも、このコロナ禍にあり条件は一緒なのです。
秀才たちが集まっている学校であり、医学部を目指す特殊環境であることへの考察が抜けているのは、学校の自主防衛的なコメントに見えて仕方ありません。

体験者のコメントがとても共感できた

山形県の進学校に通っていたというテレビ朝日の田中萌アナウンサーのコメントがYahoo!ニュースに紹介されていたので、私も引用させていただこうと思います。それは、このコメントがとても切実に、今回の17歳の加害者がどのように追い詰められていたのかを一番言い当てているように思ったからです。

「周りの大人から見れば“東大以外の大学を受ければいいじゃん”と思うかもしれないがそういうことを考えられないくらいに追い詰められているケースもあると思う。あるいは、“まだ17歳なのに、なぜ絶望したのか”という意見もあるかもしれないが、17歳だからこそ絶望することもあると感じる」
「私も“進学校”と呼ばれる高校に通っていたが、“東大、東北大、国公立大の医学部以外に行かないのはうちの生徒じゃない”みたいな環境で、普段会話する大人も先生くらいという狭い世界だった。だから先輩方が行ったルート以外は成功じゃないと思っていたし、そこから外れそうになった時の恐怖は非常に大きかった。実際、1浪して私立大学に入った時の私の絶望感、“私の人生終わったな”という感じには結構すさまじいものがあった。私くらいの年齢になれば、何かがあったとしても、“こうやって解決していけばいいな”というのが分かるようになる。でも10代の頃はそうではなかったと思う。当時はその先にはいろんな選択肢があって、職業があって、生き方があって、ということが分からなかった」と声を震わせた。

いかがでしたか。
このコメントの中で印象的だったのは、
●17歳だからこそ絶望する
●ルートから外れそうになった時の恐怖は非常に大きかった
という部分です。
加害者の少年は、絶望し恐怖したことで逃げ出したかったのでしょう。いや終わらせたかったのかもしれません。
ただ、そのことが事件を正当化するものでは決してないのですが。
言いたいのは、そんな短絡的な決断しかできないがやはり17歳の子供だからということなのです。

医学部を目指す高校生時代とは?

加害者の少年は受験ノイローゼだったのでしょうか?

いやそうではなかったでしょう。
加害者は17歳の高校2年生でした。
ご存じの通り、進学校では高校2年生までで高校3年生までの授業内容を全て終わらせます。

高校3年の1年間はそれまでの復習と受験対策だけの授業になるのです。当然高校2年の1年間は詰込みでレベルの高いものになります。

ある意味、本当の秀才とそうでないものが振り分けられる1年だともいえるでしょう。
彼の場合、努力で学力を積み上げたタイプらしく、努力ではどうしようもない壁にぶち当たり、自分の限界に気づいてしまったのではないでしょうか。
東大理Ⅲは、努力で行けるところではないと多くの人が言っています。

天才がさらに努力をして初めていける所なのです。学校や親は、どうして東京理Ⅲでなくても医学部はたくさんあることを諭してやれなかったのでしょうか?

学力によっては、医学部以外の道も選択肢に入れてあげる指導も必要だったでしょう。
それがコロナ禍だったから出来なかったと言うのはあまりに無責任です。

医学部を目指す高校生への接し方

医学部を目指す学生の多くは中学時点で既に医学部を意識しているものです。

私の持論では、小学3年~5年生の時点で医学部を目指した勉強をしていかないと合格できないと言い続けてきました。

参考:子供を医学部に生かせるなら小学生から塾に

そして、受験生の子たちは、夢を諦めず、また期待に応えようと努力し続けています。

ある意味、医学部に合格できる資質は、天才秀才でないかぎり、「努力し続けられる能力」があるかどうかだと思います。
周囲は、この努力し続けるためのモチベーションを維持できるようサポートしてあげることが必用です。
「勉強しなさい!」「どうしてこんな成績なの!」などと、モチベーションを下げるような言い方はしてはいけません。

医者を目指すことの素晴らしさを一緒に話したり、リラックスさせてあげることの方が必要です。

そして、どうして医者になりたいのか?どんな医者になりたいのか?話し合ってみたりしてください。

それは、医学部合格を最終目的にするのではなく、医者になるための手段に過ぎないことを改めて認識し、そして合格のその先まで考えるきっかけにもなるからです。

医学部は現役でなくても大丈夫。浪人があたりまえの世界です。

医学部はその特殊性から、非常に多浪生の多い学部です。

わが子の通う医学部では、大学1年生の平均年齢が21歳だったかと記憶しています。

中には6浪の同級生もいたようです。
もちろん、浪人すれば現役生よりも評価で不利にはなりますが、現役生よりも受験対策に時間が取れて学力面では圧倒的に有利なのです。

例えば防衛医科大学では、まだ高校3年の履修が全て消化できていない10月に1次試験が実施されるため現役生よりも浪人生が有利と言われています。
ですから、たとえ現役で学力が足りなくても絶望する必要はないのです。

医学部に合格することが目的になってはいけない。医者になぜなりたいのかという志が大切!

今回の少年もそうですが、医学部受験にありがちな「医学部に合格する」が目的になってしまっている受験生がとても多いのではないでしょうか。

だから、医学部に合格できた時点で燃え尽きてしてまったり、医学部在学中にモチベーションが下がって退学や留年をしてしまう学生が以外に多くいたりするのです。

本来は、医者になる目的を果たす手段として「医学部に合格する」が正解です。

目的と手段を間違ってはいけません。

そしてもっと大切なのはその先の、「医者になってどうしたいのか」「どんな医者になりたいのか」という志です。この志が明確にあれば、成績が落ちたり、受験に失敗したとしてもあきらめず頑張れるはずなのです。

それが医学部合格への受験勉強をし続けるモチベーションになりえるのです。

【まとめ】医学部受験は過酷で恐ろしいものだけど、志があれば怖くない!

先に書いたように、医学部受験は、医学部を目指そうと思った時点でとても過酷な道が待っています。

参考:医学部受験の過酷さとは

それは、受験生本人だけでなくその親や兄弟にまで及びます。それは何年にもわたる戦いになるでしょう。
その過酷な道を、迷わず突き進むには「なぜ医者になりたいのかという志」が必要です。
志さえあれば、何も怖がる必要はありません。

今回事件を起こしてしまった少年に1つだけ問いかけるとすると、こうでしょう。
「君は医者になってどうしたかったの?」

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