季節ははや8月も後半。毎年、夏休みに入ると、多くの予備校や塾が「夏休みからの医学部受験合格術」とか「まだ間に合う偏差値50代からの医学部受験」など魅力的な謳い文句で入塾を誘ってきます。そしてさもそれで毎年医学部受験に成功している生徒が続出しているような印象をつけていますよね。
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予備校や塾の甘い誘い文句、そんなの絶対に信じちゃいけません
我が子の医学部受験を一緒に戦ってきた父親の立場で言わせてもらうと、夏休みからの追い込みで医学部に合格するなんてほぼあり得ません。あり得るとすると、それはIQの高い一部の天才・秀才達の為せる技なのでしょう。普通の子供は、小学生から勉強し続け、それを習慣化し、勉強の仕方を体にしみ込ませ、ようやく医学部受験の土俵に立つことが出来るのです。夏休みからの猛勉強で、まるで一夜漬けのように習得できるスキルではないのです。ですから受験生本人のみならず、保護者の方も、こんなうまい話を信じちゃダメです。ライバル達は本当に6年も7年も前から医学部目指して頑張ってきているのですから。
夏から医学部を目指し始める受験生へ
とは言え、何も医者になる夢を諦めなさいと言っているわけではありません。この夏休み中にようやく医者になりたい!と将来の道を決めた受験生もいるでしょう。先に言ったように、現段階で偏差値が高かったり、元々優秀な頭を持っている人なら別ですが、両親も親族も普通の人ばかりの家庭の受験生の場合、夏から医学部を目指しても手遅れです。その場合は、次の2つをお薦めします。
❶もし在校している高校での査定評価が高いのなら地元医学部の地域推薦枠を狙いましょう。
→地域推薦枠なら、かなり優遇され試験の得点が低くても合格の可能性が出てきます。
❷来年春の受験はとにかく受けて、経験を詰むつもりで臨みましょう。多分不合格になるだろうけど、経験値を摘んでおくだけでも意味があります。
→浪人生として再来年に受験することになりますが、まだ1浪ならそれほど不利にはならないでしょう。2浪なら入れる大学は限られてきてかなり不利になりますが。
もし塾や予備校に通っていないなら医学部受験コースで入塾はしましょう
夏から医学部を目指すには先の❶❷ぐらいしか手がないと私は勝手に結論だてしていますが、それと合わせて、次のこともお薦めします。
医学部受験は大学受験の中でも最難関。受験対策方法も特殊です。闇雲に受験勉強をするだけでは勝てません。その勝ち方(勉強方法)を教えてもらえる環境に身を置くことが大切です。
❸あなたの高校が進学校でその中でも医学部が狙えるコースに在籍しているならそこで学ぶことを徹底しましょう。
❹普通の高校に通い、塾や予備校にも通っていないなら、ぜひ入塾しましょう。
普通の高校では医学部受験の勝ち方は教えてくれませんし、教師も知りません。そもそも教師自身が医学部のような最難関に合格できる指導をできるレベルにありません。高校に期待せず、塾や予備校で医学部コースに入塾しましょう。※ただ、そのコースに入るためには試験がある可能性が高いので、まずはそこに入れる学力を身につける必要があるでしょうが。
もし無試験で入れるような塾や予備校なら、あまりお薦めしません。なぜなら、そのコースに入れるだけで、ついてこれるかどうかは本人次第!という無責任な所かも知れませんから。
医学部コースは受講料も高めなので、保護者の方とよくよく相談して入塾を決めてくださいね。普通のサラリーマン家庭ではかなり負担になる金額です。それに、見事合格した後には、入学金や授業料など多額の出費の準備も必要です。授業料は6年間続くのも医学部ならではの負担ですからね。
医学部受験に我流は禁物。合格には成功のルールがあります。
偏差値40から医学部合格!とかいう甘い謳い文句の他にも、よくブログやユーチューブで見かけるのが「塾にも予備校にも行かずに医学部合格!」などのキャッチコピー。我流で受験勉強して合格した成功談なんかが、検索されてよく見られているようです。これもちょっと待ったー!です。
我が子の失敗体験(医学部受験2浪)を見てきた父親として、そして高校や予備校との3者面談で痛感したことがあります。
それは、我流で勉強してしまうとほぼ失敗して不合格になる!です。
最難関の医学部受験ともなると、テクニックも必要になります。何十年も医学部受験生を指導し成功体験を摘んできた高校や予備校には、勝つための必勝テクニックを教えられるという財産があります。受験生はそれを得るために他所より高い受講料を払って教えを乞うわけです。それを、自分はこっちのやり方の方が性に合ってる!とか勝手な判断でその貴重なテクニック指導を無視してしまうと、成績が伸びず、合格できないという憂き目にあってしまいます。我が子がそうでした。せっかく進学校にも予備校の医学部コースにも通って、その合格テクニックを無視し我流にこだわった結果が2回の受験失敗。流石に予備校の三者面談でもそこを指摘されて、本人も反省し、その合格テクニックに沿って勉強し直した結果ようやく国立大学医学部や防衛医科大に合格することができました。
進学校や予備校が毎年何人もの医学部生を輩出しているのは伊達ではないのです。それをリスペクトしなければいけません。
まとめ
というわけで、この夏休みから医学部受験に舵を切った受験生やその保護者の方は、来春の合格は厳しいかも知れませんが、これから1年半の長期計画を経て、1浪して合格!という作戦を立てると、焦らず、じっくりと試験に望むことができるのではないでしょうか。もし浪人する余裕はない!ということであれば、悪いことは言いません。医学部以外の学部を狙い、確実に合格を勝ち取ることをお勧めします。医者のように年収1000万を超える職業は、IT業界や金融業界などたくさんあります。そちらの世界でエリートを目指すのも決して悪くはないと思います。